The Mini-Z 2.0 survey調査(第1期〜2期)の論文がInternal Medicine誌に掲載されました

2022年1月5日

ACP日本支部の皆様

お世話になっております。ACP日本支部Physician’s Well-being Ad-hoc Committee(以下、PWC)の野中沙織と申します。このたび、PWCの研究チームから「Prevalence of Burnout among Internal Medicine and Primary Care Physicians before and during the COVID-19 Pandemic in Japan」という論文がInternal Medicine誌に掲載されましたので、ご報告させていたただきます。

(掲載先リンク:https://doi.org/10.2169/internalmedicine.8118-21

PWCは2019年に発足した活動チームで、医師の健康についての活動をしてまいりました。牧石徹也先生(島根大学医学部 総合医療学講座)をリーダー(現委員長)とし、私を含めた12名で構成されています。Mini-Z 2.0 surveyという医師の健康とバーンアウトに関する尺度を利用したアンケートの翻訳およびアンケートの実施を行い、支部総会でのワークショップを開催して参りました。継続的な活動を行うため、2021年から、Ad-Hoc Committeeへ昇格しております。

我々のチームはこれまでに合計3回(第1回:2020年1月、第2回:2020年6月、第3回:2021年3月)のアンケートを実施してまいりました。図らずも先に行った2回のアンケートはCOVID-19のパンデミック前後となっておりました。今回の論文は、みなさまにご回答頂いたCOVID-19のパンデミック前後2回のアンケート結果を分析し、COVID-19が医師の健康に対してどのような影響を与えているかを考察しております。

第1回283名、第2回322名の方にアンケートご回答頂きました。それぞれ98名(34.6%)、111名(34.5%)がバーンアウト状態と判断されました。この2回の調査において、バーンアウトの有病率には有意差は認められませんでした。
第2回のアンケートでは、82名(25.5%)が2020年1月に比べてバーンアウトのレベルが悪化したと回答していらっしゃいました。バーンアウトの悪化は、自己隔離の経験のみと関連し(オッズ比[OR]3.12;95%信頼区間[CI]1.49-6.50;P=0.002),これまでの研究で指摘されていた女性であること,研修医であること,緊急事態宣言下の県で勤務した経験とは関連がありませんでした。

また、私たちは2021年3月に第3回目のMini-Z 2.0 surveyをACP日本支部会員に向けて行いました。みなさまから頂いた切実な現場の声を、論文という形で残そうと進めております。

コロナ禍をきっかけに、医療界だけでなく、非医療者の方も医師の健康に関心を持ってくださるようになってきました。持続的、かつ質の高い医療を行うために、私たちは医師の健康に関する活動及び研究を続けていきたいと思います。今後とも調査等ではお手数をおかけしますが、何卒ご協力いただけますと幸いです。

台東区立台東病院 野中沙織