黒川賞(研修医部門)受賞者の言葉
2021年9月16日
ACP日本支部年次総会・講演会2021 黒川賞(研修医部門)を受賞して
横須賀米海軍病院 保科耀司
この度はACP日本支部2021年次総会において栄誉ある黒川賞をいただき、大変光栄に存じます。
今回私が発表した症例は「新型コロナワクチン接種後に重症筋無力症を発症した一例」で、横須賀米海軍病院の神経内科をローテーションしているときに経験させていただいた症例でした。重症筋無力症は感染や薬剤など、様々な要因を契機に発症、増悪することが知られております。今回発表させていただいた症例では患者が当院を受診する前に、新型コロナワクチンを接種した以外に明らかな生活変化をみとめませんでした。もちろん、新型コロナワクチンの接種が今回の症状の出現・増悪に関係したと結論づけることはできません。しかし、この新しいテーマを考察することが今回の学会のテーマでもある「アカデミックマインドの活性化」につながるのではないかと思い、発表させていただきました。考察で難しかった点は、過去の文献で同じ症例がなく、類似症例や、ワクチンと新型コロナウイルス感染の機序から仮説を立て検討していく点でした。今回協力してくださった神経内科のBaker医師と麻酔科のSowers医師なしでは成し遂げられませんでした。心より御礼申し上げます。
最後になりますが、私がアカデミックの道に興味を持つことができたのは横須賀に行く前に過ごした千葉大学総合診療科の皆様の後押しのおかげです。改めましたこの場をお借りして、感謝の意を伝えさせていただきたいと思います。そして、COVID-19パンデミックの中、バーチャルでの開催に踏み切り、最後までご尽力いただいたACP日本支部総会の関係者の方々に厚く御礼申し上げます。